ネットを揺るがす「できらぁ!」の真実。昭和の伝説的グルメ漫画『スーパー食いしん坊』が2026年の今も愛される理由
でき ら ぁ 元 ネタとして知られるのは、1980年代に連載された破天荒な料理漫画『スーパー食いしん坊』の一コマだ。SNSのタイムラインを眺めていると、不可能と思われる挑戦に対して自信満々に「できらぁ!」と言い放つコラ画像やミームを頻繁に見かけるだろう。このシンプルながらも強烈なインパクトを持つフレーズは、ネットスラングとして完全に定着している。
多くの人が日常的に使っているこの言葉だが、実はでき ら ぁ 元 ネタとなったエピソードの全貌を知る人は意外と少ないかもしれない。主人公・香香陽介(こうさか ようすけ)が、プロの料理人たちを相手に「絶対に不可能」とされる調理法やメニューを力技で実現していくプロセスこそが、このミームの真の面白さなのだ。
始まりは「ステーキ肉を使わないステーキ」の無理難題

問題のシーンが描かれたのは、単行本第2巻に収録されているエピソードだ。主人公の香香陽介が、デパートのレストランで高額なステーキを前にして「こんなのステーキじゃない、ただの肉焼きだ」と毒づくところから物語は動き出す。
当然、店のシェフは激怒する。「じゃあお前はこれより美味いステーキを作れるのか」と。そこで陽介が言い放ったのが「同じ値段でそっちよりずーっとうまいステーキを食わせてやる」という挑戦状だった。シェフが「ステーキ肉を使わずにどうやってステーキを作るっていうんだ!?」と詰め寄った瞬間、あの伝説の返しが炸裂する。「できらぁ!」と。
ステーキ肉を使わずにステーキを作る。この矛盾に満ちた難題に対し、陽介が編み出した解決策は、なんと「ひき肉」を使うことだった。ひき肉をステーキの形に成形し、中には凍らせたバターを仕込む。焼くことでバターが溶け出し、極上の肉汁を演出するというアイデアだ。今でいうハンバーグに近いものだが、当時の読者、そして現代のネットユーザーにとっても、その力押しな発想は衝撃的だった。
主人公・香香陽介の破天荒すぎるキャラクター性

『スーパー食いしん坊』の魅力は、主人公・陽介のキャラクターに集約されていると言っても過言ではない。彼は中学生でありながら、実家の食堂を手伝う天才料理少年だ。しかし、その料理スタイルは「繊細な職人技」とは程遠い。
彼の真骨頂は、思いつきとハッタリ、そして物理法則を無視したかのようなアイデア勝負にある。例えば、10分でカツ丼を作るためにドライヤーを使ったり、巨大なイカダの上で超巨大お好み焼きを焼いたりと、やることなすことが規格外だ。この「絶対に無理だろ」と思わせる状況を、力技で突破していくカタルシスこそが、本作の真骨頂なのである。
「できらぁ!」というセリフも、単なる自信過剰の表れではない。窮地に立たされた陽介が、自らのプライドとアイデアだけで大人たちに立ち向かうための、魂の叫びなのだ。だからこそ、読者は彼の無謀な挑戦を応援したくなってしまう。
なぜ「できらぁ!」はネットミームとして定着したのか?

インターネットの黎明期から現在に至るまで、このコマがこれほどまでに擦られ続けている理由は、その汎用性の高さにある。SNSや掲示板では、日々「技術的に不可能」「予算的に無理」といった現実的な壁が議論されている。そこに投下される「できらぁ!」の一言は、すべての論理的思考をシャットアウトする破壊力を持っている。
また、相手の「そんなことができるわけがない!」というセリフとセットで使われることで、完璧なコントの構図が完成する。対話のキャッチボールとしてこれほど美しい流れはない。論理で勝てないときに、勢いとパッションだけで会話の主導権を奪い取る。このネット特有のノリに、陽介の表情とセリフが完璧にフィットしたのだ。
さらに、コラージュ画像の作りやすさも普及を後押しした。セリフ部分を書き換えるだけで、どんな無理難題にも対応できる万能の素材として、ネットカルチャーの血肉となっていった。
2026年の今、再び脚光を浴びる「再現料理」ブームとの親和性
時代は流れ、2026年。YouTubeやTikTokなどの動画プラットフォームでは、漫画やアニメに登場する架空の料理を実際に作ってみる「再現料理」ジャンルが空前のブームを迎えている。その中で、『スーパー食いしん坊』の奇抜なレシピは格好のネタだ。
多くの料理系インフルエンサーたちが、「本当にステーキ肉を使わずに美味いステーキができるのか?」「ドライヤーでカツ丼は作れるのか?」といった検証動画を投稿している。科学的なアプローチで再現を試みる者もいれば、陽介と同じように勢いだけで挑戦する者もいる。結果として、失敗も含めて動画は大バズりし、元ネタを知らない若い世代にも「できらぁ!」のフレーズが浸透することとなった。
昭和の漫画が持つ「大雑把だが夢がある」アイデアは、タイパや効率が重視される現代において、逆に新鮮でクリエイティブなものとして受け入れられているのだ。
現代のクリエイターたちに与えた「できらぁ!」精神の影響
「できらぁ!」という精神は、単なるお笑い草ではない。何か新しいものを生み出そうとするとき、周囲の「そんなの無理だ」という声を跳ね返すエネルギーそのものだと言える。
スタートアップの起業家や、新しい表現に挑むアーティストたちの中には、冗談めかしつつもこのマインドセットを大切にしている者が少なくない。前例がないからやらないのではなく、誰もやったことがないからこそ「できらぁ!」と大口を叩き、そこから辻褄を合わせるために死に物狂いで努力する。この逆算型の突破力こそ、イノベーションの原動力だ。
昭和の熱い料理漫画が残した一コマは、形を変え、プラットフォームを変えながらも、現代を生きる私たちの背中を少し狂気じみた方法で押し続けている。次にあなたが不可能に直面したとき、心の中でこう叫んでみてはどうだろうか。「できらぁ!」と。 (出典: でき ら ぁ 元 ネタ(Yahoo!ニュース))